祝福のメッセージ:2003ー12

No. 200312 

神が人となられた

 

神の語りかけ

 神は、かつて預言者たちによって、多くのかたちで、また多くのしかたで先祖に語られたが、この終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました。神は、この御子を万物の相続者と定め、また、御子によって世界を創造されました。(ヘブル1章1、2節)

 神は宇宙万物を創造なさいました。ことばで命じて全てを創造なさったのです。神は人間以外の被造物には、語りかけたりその願いを聞き入れたりなさいませんでした。神は万物を人類のために創造し、人類に対してのみ語りかけておられるのです。神は人との人格的な交流を求めておられるからです。

 このように、神は創造の始めから、人との交流を持ち続けようとされました。


神から離れて神の声が聞こえなくなった

 罪は神と人とを隔てるものです。罪が神と人とを隔てたため、私たちには神の声が神の声としては聞こえなくなりました。人は神の導きや警告に耳を傾けず、自分勝手な道に進み、いつのまにか滅びに向かう道を選んでしまったのです。

 広いアメリカの中でも特に広いグランド・キャニオンを訪れた時のことです。私たちは2台の車に分乗しました。お互いの場所を確認できるよう無線で話し合える道具を1台づつ積んでいました。けれども、いつの間にか2台の車は遠く離れ過ぎて電波が届きにくくなり、お互いに相手の言っていることが聞き取れなくなりどこにいるのか分からなくなってしまいました。あっちの方向ではないか、こちらではないかと勝手に考えて進むうちに、とうとう完全に離れ離れになってしまいました。幸い偶然にも一瞬の間電波の状態が良くなり、手短に自分の位置を相手に知らせることが出来ました。それがなかったら、最後まで別れ別れになって広いグランド・キャニオンをさまよっていたことでしょう。

 神は預言者たちを遣わして何度も人を正しい道に引き戻そうとされましたが、人は神の声を聞き取ることが出来ず、ますます神から離れてしまったのです。そんな人類に、神はどのようにして神の声を届かせようとなさったのでしょう。

 小さく開けた天窓から小鳥が迷い込んでしまいました。何とかして外に出して自由にしてやろうと追いたてたり捕まえようとしたりしましたが、小鳥は怖がってあちこちに体をぶつけて弱っていくばかりです。「大丈夫、じっとしていれば手のひらにのせて外に出して自由にしてあげるから。」と言っても小鳥には通じません。捕まえようとすれば逃げてしまいます。いったいどうすれば害を加えるのではなく、助けてあげようとしていることが分かってもらえるのでしょう。

 小鳥になって、小鳥のことばで話しかけ、入ってきた小さな天窓のすき間から一緒に外に出てあげる必要があります。神はイエス・キリストによってそれを実行してくださいました。


神は人に行くべき道を示しておられる

 人は自分がどこから来てどこへ行くのかを知りません。また、今何が正しい生き方なのか分からなくなっています。人は神から遠く離れて自分の状態を見失っているからです。けれども、私たちを造られた神は何が私たちにとって最善でありどのようにしたらその道に戻ることができるかも承知しておられます。人はそれを知りたいと切に求めながらも自分の知恵を誇り自分中心的な生き方を捨てることが出来ずどんどん間違った滅びの道に進んでいるのです。このままでは、永遠に神から離れてしまい滅びるしかありません。神はそれを人に知らせ、滅びから救いの道に引き戻すために神の御子をつかわされました。神の御子が人となって人とともに地上に住み、人の言葉で救いの道を教えてくださる必要があったのです。人は罪のために神とあまりにも遠く離れてしまって神の声を直接聞くことも神に直接語りかけることも出来なくなってしまったからです。


御子によって語られた

 「この終わりの時代には、御子によってわたしたちに語られました。」とあるように、神は御子イエス・キリストによって私たちに神の御心を知らせておられるのです。

 宇宙万物の造り主がその被造物である私たちのひとりのようになって地に下られました。それは罪によって神から遠く離れてしまった私たちが神の声を聞いて神のもとにたち帰るためです。イエス・キリストは私たちを救うために神の声となって私たちのところに来られました。


これはわたしの愛する子、これに聞け

 イエスの弟子たちは「これはわたしの愛する子。これに聞け。」という天からの声を聞きました。(マタイ17章5節、マルコ9章7節、ルカ9章35節)ですから、イエス・キリストのことばに耳を傾けることは神の声に耳を傾けることです。

 クリスマスは人となって生れた神の子イエス・キリストを心に迎える時です。イエス・キリストを通して語られた人類への神の語りかけを聞く時です。今日、私たちが心からお祝いしているクリスマスは、神から私たちへのメッセージです。「救い主イエス・キリストをこの世に送ること」によって私たちに語っておられるのです。この語りかけに応えて永遠のいのちへの道を歩もうではありませんか。