祈りの家族への手紙:2004-03


 親愛なる祈りの家族のみなさん。

 私は切なる思いで主を待ち望んだ。主は、私のほうに身を傾け、私の叫びをお聞きになり、私を滅びの穴から、泥沼から、引き上げてくださった。
 そして私の足を巌の上に置き、私の歩みを確かにされた。主は、私の口に、新しい歌、われらの神への賛美を授けられた。多くの者は見、そして恐れ、主に信頼しよう。
 (詩篇40篇1-3節)

 私たちは時として自分の力では這い上がれないほどの深い穴に落ち込むような経験をすることがあります。ダビデはそのような経験を「滅びの穴、泥沼」と言っています。

 主はそういう中からダビデを引き上げてくださいました。主は私たちも引き上げてくださいます。

 私の子供のころ、田舎では水道がなく、ほとんどの家庭が井戸を使っていました。井戸は暗く深い穴になっていて、たいていの場合は重い木や石のふたがしてありました。隙間からのぞくと遥か下のほうに水が光って見えていました。その中に落ちたらとても自分であがってくることは出来ません。そうなったらどんなにか恐ろしいことだろうと思いました。

 あなたも自分の力ではどうすることも出来ない問題に囲まれてどこへも出られないように感じたことがおありでしょう。もしかしたら、今そのような状態で悩んでおられるのかもしれません。もしそうだとしても決して心配はありません。その時絶望したりあきらめたり、人を恨んだりしてはいけません。ダビデのように祈り、叫び、その状態から引き上げてくださるように主に願ってください。主はあなたを堅い土台の上に立たせてくださいます。あなたの歩みを確かなものにして、あなたの口に喜びの賛美を授けてくださいます。

 ダビデは「主は私の足を巌の上に置き、私の歩みを確かにされた。」と言っています。

 イエスは教えを聞いて行動する人をこのようにたとえています。

 「だから、わたしのこれらのことばを聞いてそれを行なう者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人に比べることができます。雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけたが、それでも倒れませんでした。岩の上に建てられていたからです。」(マタイ7章24、25節)

 主は私たちがどのような状態になった時にもしっかりとした土台の上に足を下ろす者としてくださるのです。

 ダビデはまた、「主は、私の口に、新しい歌、われらの神への賛美を授けられた。」と言っています。

 私はよく心の中で歌を歌います。時には一日中同じ歌を繰り返し歌っていることに気がつくことがあります。実際に声に出しているわけではありません。私はあまり歌が上手ではありませんので、もし、声に出していたら自分で聞いてあまりのひどさに途中でやめてしまうかも知れません。しかし、心の中だけで歌っているので、とてもすばらしい歌になっています。ですから、何度も繰り返して歌うことができるのです。主は私の口にではなく心に賛美を授けて私を励ましてくださいます。

 ピリピで伝道していて捕らえられたパウロとシラスにも神は賛美の歌を授けられました。

 この命令を受けた看守は、ふたりを奥の牢に入れ、足に足かせを掛けた。
 真夜中ごろ、パウロとシラスが神に祈りつつ賛美の歌を歌っていると、ほかの囚人たちも聞き入っていた。ところが突然、大地震が起こって、獄舎の土台が揺れ動き、たちまちとびらが全部あいて、みなの鎖が解けてしまった。
 (使徒の働き16章24-26節)

 牢に入れられた上に足かせまで掛けられ、どうしようもない状態であっても神に祈るなら、賛美を歌うことが出来るほどの平安を、主は与えてくださるのです。

  「ダビデやパウロやシラスは歴史に名を残すほど偉大な人たちでした。けれども、名もない重要でもない私に神はそんなにすばらしいことをしてくださるはずがない。」と思いますか。そんなことはありません。主があなたにもそのようにしてくださる十分な理由があります。

 ダビデは詩篇40篇3節をこのように結んでいます。

 「多くの人はこれを見て恐れ、かつ主に信頼するであろう。」(口語訳)

 ダビデは自分の罪によって国に混乱を招き、愛するわが子と戦わなければならないことになり、自分の力ではどうすることも出来ない状態でした。そこから国の秩序を回復することは誰の目にも不可能なことのように見えました。そういう中から立ち上がり、国を立て直したのを見た人々は恐れ驚き、それを可能にしてくださった主に信頼するようになったのです。

 もし、あなたが絶望の中から立ち上がり、賛美の歌を歌うのを見れば、あなたのまわりの多くの人は驚き、その人たちもあなたが信じている主に信頼するようになることでしょう。

 「私たちが主の証人になるためには、まず自分が完全な人にならなければならない。」と考える必要はありません。完全な人はイエスだけです。私たちは不完全で失敗も多いありのままの弱い自分であっても、主に助けられ、主に教えられつつ立ち上がる者であれば良い証人になれるのです。もし、あなたが周りの人に完全な人のように見えたら、とても近づきがたく、人々ははじめからあきらめてしまうことでしょう。誰もが弱さを持っており、その弱さを克服する力がほしいと願っているのです。あなたの近くにいる人にとっては、歴史に名を知られているダビデやパウロやシラスに起こったことよりも、あなたの身に起こっていることの方が遥かに現実的で心に残るものとなるのです。主もそれを良く知っておられるのであなたを用いてくださるのです。

 あなたを引き上げて揺るがない堅い土台の上に立たせ、賛美の歌を与えてくださることは神の御心です。ですから、どうか心配しないで神に願い求めてください。私もあなたと一緒に祈ります。そうすれば、喜びの賛美をともに歌うことができるからです。

 あなたは愛されています。

レックス・ハンバード世界宣教団 

日本主事 桜井 剛