No. 200405
ふるさとへ帰る
帰巣本能
今では電子メールを使って世界中のどこへでも一瞬にして通信文を送ることが出来ますが、まだ技術が発達していなかった頃は、郵便は何日もかかりました。
ですから大急ぎで通信文を送るために伝書鳩が活躍しました。新聞社の屋上には必ず鳩が飼ってあって、毎朝運動のために空に放されて建物の上空を飛んでいるのを見かけました。急ぎの記事を本社に送るために記者は鳩を連れて行き、記事を書くとそれを鳩の足につけて放しました。鳩が自分の巣に帰りたがる本能を利用して通信文を届けていたのです。
今年も5月の連休には大勢の人が郷里に帰りました。そのため高速道路は渋滞して何時間もかかり、乗り物は満員で疲れきってしまったという人も多いと思います。ほとんどの人が始めからそれがわかっていても出かけました。郷里に帰りたいという思いが、困難に打ち勝ったのです。
誰でも本来自分がいるべきところ、本当に安心できるところを求めています。そこへ帰りたいという切なる願いを持っているのです。多くの家庭がそのような願いを本当に満たしてくれる場所であってほしいと願っています。
さらに優れた故郷
彼らはこのように言うことによって、自分の故郷を求めていることを示しています。もし、出て来た故郷のことを思っていたのであれば、帰る機会はあったでしょう。しかし、事実、彼らは、さらにすぐれた故郷、すなわち天の故郷にあこがれていたのです。(へブル11章14、15節)
家に帰りたい、故郷に帰りたいと言う気持ちは強くても、実際にはそれが思っていたほど素晴らしいところではなかったために失望させられることもあります。地上のふるさとは私たちの本当のふるさとではないからです。
私たちの本当のふるさとは天にあります
けれども、私たちの国籍は天にあります。そこから主イエス・キリストが救い主としておいでになるのを、私たちは待ち望んでいます。(ピリピ3章20節)
地上のふるさとは私たちが強く願っているほどには満足を与えてくれません。私たちは地上においては旅人であり寄留者です。本当のふるさとに帰るまでは完全な平安はないのです。
それでは、その途中の旅路はあまり意味がないのでしょうか。そうではありません。むしろその逆です。本当のふるさとを持っているという事実が私たちに安心と希望を与え、旅路をいっそう楽しいものにしてくれるのです。たとえ、途中で困難に出会ったり不自由なことがあったりしても、本当のふるさとに帰るという目標を持っているので失望させられることがないのです。
故郷への旅路を楽しむ
私たちの帰郷は長い長い旅です。ですから途中の過ごし方が大切です。家族にも友人にもこの旅に加わるチャンスを持ってもらう必要があるからです。また大勢の仲間たちが同じ目的地を目指していることを知ることによって大いに励まされます。ですから、一人でも多くの人と連れ立って故郷への旅を続けてください。あなたの周りにも、「行方を知らない旅人」が大勢おられることでしょう。本当のふるさと、正しい目的地を共に目指すことが出来るよう、家族や友人にもこの旅路に加わってもらいましょう。そうすれば、この旅路はどんなに楽しくなることでしょう。
故郷への旅路の間に心の準備をする
この旅路は神の家族の訓練と準備の時です。私たちがそこに住む者としてのふさわしさを備えるため、信仰を育て、しっかりと成長する必要があるからです。
この訓練は厳しい修行や受験勉強とは違います。誰にでも出来ることですが誠実さが必要です。どんな時にも神に信頼する習慣を身につけることだからです。
これからも、祈り合い励まし合って、共に成長しながらこの長い旅路を楽しく続けてまいりましょう。まだまだ、たくさん良いことが待っています。
それは、神の人が、すべての良い働きのためにふさわしい十分に整えられた者となるためです。(テモテ第二3章17節)