祈りの家族への手紙:2005-03


 親愛なる祈りの家族のみなさん。

 イエスはヨハネの福音書の中で「何でもあなたがたのほしいものを求めなさい。」と言われました。

 あなたがたがわたしにとどまり、わたしのことばがあなたがたにとどまるなら、何でもあなたがたのほしいものを求めなさい。そうすれば、あなたがたのためにそれがかなえられます。(15章7節)

 何年も昔の話ですが、私がアメリカで留学を始めた頃、ある教会が、使わなくなった家具や日用品を私たちのためにガレージいっぱい集めてくれました。使わなくなった物とは言っても、まだきれいなものばかりで、みんな欲しい物ばかりでした。牧師が「何でも必要な物を持っていってください。」と言いましたが、それが私たちのために集められたということを知らなかったために、私は少し遠慮して、当面どうしても必要なものだけをいくつかいただいて帰りました。帰ってから、いずれは買わなければならない家具が色々あることに気がつき、数日後もう一度ガレージに行ってみると、全てが処分された後でした。日本人は人が使った古い物は使わないのでいらないのだと思ったのだそうです。

 もっとゆっくりと話を聞き、理解し、相手の気持ちを感じ取っていたら、このような行き違いや、損失を招くことはなかったに違いありません。そうすれば、はるばる日本から来た貧しい留学生の必要を満たそうとしてくれた人々の親切が伝わり、それを受け取った私たちも助けられ、教会の人々も自分たちのしたことが役に立ったことを知って満足してくれたに違いありません。

 今でも時々思い出すと、残念でなりません。家具をもらわなかったことがではなく、皆さんの親切が無駄になってしまったことを残念に思うのです。

 神はもともと良い方であって、私たちをあらゆる良いもので満たしてくださることが御心なのです。大切なことは、私たちがどれほどそのことに気がついているかということです。神がたくさんの恵みを注いで私たちに良くしてくださっていることがあまりにもしばしば忘れられているのです。

 主はあなたの人生を良いもので満たしてくださっています。あなたの人生も、私の人生も数え切れないほどたくさんの恵みで満ち溢れています。目を開くだけで、それがいっぱい見えてきます。足を一歩動かすだけでも、どんなに恵まれているかが分かります。

 悪いところを探し出して不平を言いたくなることもあるかも知れませんが、それでは他にあるたくさんの恵みが見えてきません。私たちは感謝すべきたくさんの恵みに溢れています。そこにあなたの目を向けてください。与えてくださっている方に心をとめ、それらの恵みを感謝して受け取るなら、それをあなたに与えようと待ち構えておられる方の愛のすばらしさが本当に身にしみてきます。

 あなたの行くところ、とどまるところ、どこにでもたくさんの恵みが満ちています。その一つ一つに神の愛とご計画が込められているのです。その親切な思いやりを十分に受け取ってください。主がどのようにあなたを恵もうとしておられるかをあなたも知り、周りの人にも知らせてください。

 それゆえ、主はあなたがたに恵もうと待っておられ、あなたがたをあわれもうと立ち上がられる。 (イザヤ30章18節)

 今の時代はめまぐるしく変化し、誰もが忙しくしています。忙しければ忙しいほど価値のある人生だと思っています。昔私が知っていた歯医者さんは、毎日を1分刻みで過ごしていると言って自慢していました。それだけ大切な仕事をしていたのでしょう。けれども、それで良いとは思えません。

 もちろん、何もしないで無駄に時間を過ごすことも良くありません。それでは生きる目標が分からなくなって、喜びや感謝がわいてきません。しかし、あまり忙しすぎて何が大切なことかを見失ってしまっては何にもなりません。

 新約聖書のヨハネの福音書に、イエスがマルタとマリヤの家を訪れた記事が書いてあります。

 その時、マリヤはもっぱらイエスの近くにいて話を聞いていましたが、マルタはイエスを接待するために忙しく働いていました。あれもしたい、これもしたいと思っているうちに、あまりにも忙しくなってしまい、何もしないでイエスと話をしているマリヤに不満を持つようになってしまいました。そして、とうとう「主よ、私を手伝うようにマリヤに言ってください。」とイエスに不平をぶちまけてしまいました。マルタは決して悪い人ではありません。マリヤを憎んでいたわけでもありませんでした。けれども、あれもこれもとあまり気を使い過ぎていらいらしてしまい、せっかくイエスが来てくださっているというすばらしい特権と恵みが分からなくなってしまったのです。そればかりではありません。それによって大切な人との人間関係をも傷つけてしまったのです。

 あなたが祈りによってイエスを心にお招きする時にも、大切なことはそんなに多くはありません。イエスに出来るだけ近づいて、耳を傾けて話を聞くことです。あれこれ気をつかう必要はありません。イエスはあなたのことを何でもご存知です。あなたが今どんな気持ちでいて、何を必要としているかも知っておられます。そして、すでにある多くの恵みに加えて、どのようにして更にあなたを恵もうかと思っておられます。

 一番大切なこと、それはイエスが今あなたに何を語っておられるかにしっかりと耳を傾けてイエスをよく知ることです。そして、どんなことでも、あなたの心を素直に申し上げるのです。イエスはあなたの祈りを聞いてくださいます。

 何も思い煩わないで、あらゆるばあいに、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。そうすれば、人のすべての考えにまさる神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。(ピリピ4章6、7節)

 あなたは愛されています。

レックス・ハンバード世界宣教団 

日本主事 桜井 剛