No. 200504                   　　

 良い行ないと信仰

　明治時代の偉大な人物と言われている人々の多くがクリスチャンであったことは良く知られています。これらの先駆者たちのおかげで、今でもクリスチャンは品性が高く、良い人たちだと評価されています。それは私たちに対する評価ではなく、身をもってそれを築いた先人たちのおかげなのです。

クリスチャンは皆良い人でしょうか

　ではクリスチャンたちは本当に皆良い人たちばかりでしょうか。そうありたいと願う反面、本当にそうだろうかという疑問も残ります。クリスチャンの中にも自分の問題点と向き合っている最中の人もあれば、これからキリストの品性を目指して歩みだしたばかりという人もいます。キリストの品性に近づきたいと願いながらも思うようにはいかず、奮闘中という人もおられるに違いありません。自分自身のことを考えてみても立派なクリスチャンという評価にはほど遠いことが分かります。良い人だからクリスチャンになれるというわけではないのです。

人は行ないによっては救われない

　人が救われるのはイエス・キリストを信じる信仰によるのです。良い行ないをすることによって救われるのではありません。

　あなたがたは、恵みのゆえに、信仰によって救われたのです。それは、自分自身から出たことではなく、神からの賜物です。（エペソ２章８節）

　では、良い行ないは意味がないのでしょうか。明治のクリスチャンたちの手本はむなしかったのでしょうか。決してそのようなことはありません。

　けれども、罪からの救いは私たちの良い行ないによって買い取るにはあまりにも大き過ぎるのです。それは、貯金箱の中に貯まったわずかなお金で日本銀行を買い取るような無謀なことです。良い行ないそのものは大切です。クリスチャンの品性を築くための大切な要素の一つです。決して軽んじてはなりませんが、それがクリスチャンの中心的な課題ではありません。それは結果として自然に現れてくるべきものです。

行ないのない信仰は死んでいる

　一方、イエス・キリストを信じ、神を愛すると言いながら、何一つ良い行ないをしないとしたら、それは健全な信仰ではありません。

　たましいを離れたからだが、死んだものであるのと同様に、行ないのない信仰は、死んでいるのです。
（ヤコブ２章２６節）

　真実の神に対して正しい信仰を持っていれば自分で気づいていなくても自然に良い行ないが現れてくるものです。良い行ないが全く現れないとしたら、その信仰は健康な状態ではないのです。

　「私には何もよい行ないがない」と嘆く人や「私は信仰が足りない」と自分を卑下する人がいます。それは信仰の正しい評価の仕方ではありません。もともと人間は弱いものであり、罪に支配されやすいものです。それを根本から変えてくれるのがイエス・キリストへの信仰です。

　あれもしてる、これもしてると自分の行ないを誇ったり、あれもしなければ、これもしなければとあせったりしないで、まず信仰の原点に戻ることです。

　キリストをあなたの人生の第一にし、全てのことにキリストを頼りとし、その教えに従う決心をするなら、信仰は健康を取り戻します。

良い行ないは神によって備えられる

　私たちは神の作品であって、良い行ないをするためにキリスト・イエスにあって造られたのです。神は、私たちが良い行ないに歩むように、その良い行ないをもあらかじめ備えてくださったのです。（エペソ２章１０節）

　良い行ないは自分が評価するのではなく他の人が評価するのです。「自分では良いことをしているつもりだった。」というのが一番残念な言葉です。行ないそのものに気をとられると、キリストの教えよりも人の評判を気にするようになります。人によって評価は違い、全ての人を喜ばせることは不可能です。そんなことをしていると、自分でも何をしたら良いか分からなくなってしまいます。

　良い行ないは神が備えてくださいます。神に従い神の作品にふさわしく歩めるよう神の導きに目を留めるのです。

耳を傾けていなさい

　愛地球博ではロボットが人気を集めています。音楽を合奏したり、案内をしたり、質問に答えたりして人々を驚かせています。それが可能になるのは相手の音や言葉に注意して耳を傾けているためです。音楽を奏でるだけならレコードや自動演奏のピアノでも出来ます。大昔からオルゴールはありました。けれども、それらは自分勝手に音を奏でているだけです。合奏の場合は他の演奏者の音に合わせて演奏します。自分が演奏しながら他の演奏者にも注意しなければなりません。まして、相手の質問に答える場合には、相手の言ったことを聞くだけでなく正確に理解しなければ答えることは出来ません。

　私たちは日ごろから神のことばに耳を傾け、御心を求めてそれを理解しようとしているでしょうか。それによって私たちの良い行ないも大きく左右されます。

　レコードの自動演奏のような祈りではなく、自分の願いとともに神の声にも耳を傾ける祈りでありたいと思います。そうすれば、あなたの内側から良い行ないが次々あふれ出るようになるでしょう。