祈りの家族への手紙:2006-02


 親愛なる祈りの家族の皆様。

 私は人を喜ばせることのできる人間でありたいと思っています。人を喜ばせると言っても、いつもおかしなことを言ったりやったりして一時的に人を笑わせると言う意味ではありません。ごく自然に人を喜ばせ、人の気持ちを高めてあげられる人になりたいのです。たとえ目立った存在にならなくても、人から評価されなくても、そこにいるだけで、周りを楽しくし、人を励まし、喜びを与えるような人になりたいのです。クリスチャンのひとりひとりがそのような存在であることを神が願っておられるからです。

 私たちはひとりひとり、隣人を喜ばせ、その徳を高め、その人の益となるようにすべきです。
 (ローマ15章2節)

 アメリカに留学していた頃、私たちを引き受けて、スポンサーになってくれた教会の牧師がいつも私をいろいろな会合に連れて行き人々に紹介してくれました。そのとき、自分で聞いていても恥ずかしくなるほど、私についてすばらしいことをたくさん言ってくれました。それによってずいぶん励まされ、やる気を起こさせられたものです。私がその言葉にふさわしかったからではありません。私に期待してくれている人が身近にいたことが、私を励まし、やる気を起こさせてくれたのでした。

 人は誰でも無限の可能性を持っていると言われています。それは子どもたちや若者だけに限られているわけではありません。年配者にも、まだ十分に活用されていない多くの力と可能性が秘められています。そのようにたくさんの良い性質や能力が用いられないままで失われていくのではあまりにももったいないではありませんか。今のうちにそれを一つでも多く外に引き出してあげることが出来たらどんなにすばらしいことでしょう。もしかしたら、周りの誰かに、期待を込めて言ってあげるあなたの一言がその人を祝福し、励まし、やる気を起こさせ、今まで秘められていた能力を引き出すきっかけになるかも知れません。

 モーツアルトは天才音楽家と言われています。音楽家の家に生まれたモーツアルトは、幼い時からすばらしい才能を発揮していました。彼のそばにはいつも父親がいて、彼の才能を見出し、励まし、助け、彼の能力を十分に引き出すことに努めていました。まだ楽譜さえも書けなかった幼いモーツアルトが奏でる音楽を楽譜に書きとめ、後世に残る立派な曲に仕上げたのも父親でした。このようにして、天才作曲家モーツアルトは成長し、私たちにたくさんの感動的な音楽を残してくれました。彼の音楽によって魂を揺り動かされ神のもとに引き寄せられて信仰を持つようになった人々も少なくありません。父親(レオポルト・モーツアルト)も有名な作曲家ですが、モーツアルト(アマディウス・モーツアルト)の影に隠れて、あまり大きな評価を受けてはいません。けれども、彼は自分の作曲よりももっと大きな業績を残しました。たくさんの素晴らしい音楽を世に残す大作曲家を出現させることに貢献したからです。

 私たちの周りでは多くの人が疲れはて、孤独に悩み、誤解を受けたり、無視されたり、不当な扱いを受けて傷つき、絶望して人生をあきらめかけています。ともすると、そのような絶望感が、人々の心を追い詰め、恨みや敵対心をそそり、破壊的な行動へと追いやってしまうことになるのです。そういう世の中であればこそ、なおのこと、傷ついている人の友となり、心を癒し、引き上げ、希望を与えて励ましてあげる人が必要なのです。

 あなたのやさしい一言が、ちょっとした笑顔が、小さい親切な行いが、心を込めた真実の言葉が神に用いられて、一番必要な時に、一番必要としている人のところに届き、その人の人生に大きな変化をもたらすことでしょう。

 うっかりすると、私たちは、つい他人を傷つけたり悲しませたりする事の方が多くなってしまいます。けれども、聖書は「人を喜ばせ、人の徳を高める者になりなさい。」と私たちに教えています。特に、キリストの名で呼ばれているクリスチャンは自分の努力だけではなく、神の力とみことばの助けによって周りの人を喜ばせ、人の徳を高める者になることができるのです。

 今からあなたの人生を周りの人を喜ばせる人生にしたいと思いませんか。私は祈りの家族の中で、すでにそうしている方を何人も知っています。もし、あなたがその一人でしたらますますそのようになってください。あなたの語る言葉で人の徳を高め、家庭でも、職場でも、学校でも、あなたの存在が人々に光を与えるようになってください。キリストとともに歩む人生が喜ばしい人生であることを周りの全ての人に身をもって示そうではありませんか。

 「私にはとてもそんなことは出来ない」などと言わないでください。弱さを感じるのはあなただけではありません。誰でもいつも強いわけではないのです。けれども、私たちには神の力があります。聖書のことばが助けてくれます。適切な時に聖書のことばを一節伝えてあげるだけで、そのことばがその人の心に働いてすばらしい変化を起こしてくれることもあります。自分の力でやろうとしないで神の力に頼ってください。私たちの弱さのうちにこそ神の力は一層はっきりと働くからです。

 「わたしの恵みは、あなたに十分である。というのは、わたしの力は、弱さのうちに完全に現われるからである。」(コリント第二12章9節)

 私たちの人生は周りの人を喜ばせ、祝福するために用いられるべきです。悲しませたり、傷つけたりするために用いられるべきではありません。けれども、もし人を不愉快にしたり悲しませたりするようなことがあったとしても、がっかりしないでください。それがあなたの全てではないからです。神はあなたに、人を祝福する力を与えておられます。次の機会には意識して積極的に人を喜ばせることを実行すればよいのです。そうすれば自分にもその喜びがはねかえって来ます。

 私はこれからも毎月、あなたのもとにお送りするお便りによって、あなたを励まし、力づけ、神の言葉によってあなたの霊的な成長をお助けしたいと思っています。

 私の言葉ではなく、神のことばがあなたの中で働いて、あなたを励まし、力づけ、祝福となって働いてくれることを信じているからです。それによって私自身も祝福を受けたいからです。

 あなたは愛されています。

レックス・ハンバード世界宣教団 

日本主事  桜井 剛