No. 200608
不思議な助言者
私たちは困ったことに出会ったり手に負えない問題を抱えてしまった時、誰か力になってくれそうな人に相談したいと思います。そのような時、知恵や能力があり、その上親身になって事情を聞いてくれる人が身近にいたらどんなに安心できることでしょう。また、不安に駆られ、これから先のことが心配でどうしたら良いのか分からないような時、そばにいて慰め励ましてくれる友がいたらどんなに安心することでしょう。イエスはしばらくの間地上を去って行かれるにあたり、私たちのためにそのような助け主を用意してくださいました。
わたしは父にお願いします。そうすれば、父はもうひとりの助け主をあなたがたにお与えになります。その助け主がいつまでもあなたがたと、ともにおられるためにです。その方は、真理の御霊です。世はその方を受け入れることができません。世はその方を見もせず、知りもしないからです。しかし、あなたがたはその方を知っています。その方はあなたがたとともに住み、あなたがたのうちにおられるからです。わたしは、あなたがたを捨てて孤児にはしません。わたしは、あなたがたのところに戻って来るのです。(ヨハネ14章16-18節)
神の真理
真理の御霊は神の真理を私たちに教えてくださいます。神の真理は神のことばを記した聖書であり、ことばとなって世に来られたイエス・キリスト自身です。イエス・キリストを知ることは神の真理を知ることです。
初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。(ヨハネ1章1、14節)
「わたしが道であり、真理であり、いのちなのです。わたしを通してでなければ、だれひとり父のみもとに来ることはありません。」(ヨハネ14章6節)
「わたしは、真理のあかしをするために生まれ、このことのために世に来たのです。」(ヨハネ18章37節)
あなたが聖書を通して神がどのような方かを理解しておられるとしたら、その知恵はどんなに博学な哲学者が自分の知恵と知識で神について理解しているよりもはるかに勝っていて、正しく神を知り、真理に近づいているのです。必ずしもあなたが哲学者たちよりも賢いからではなく、あなたの内におられる聖霊が神の真理を人の知恵よりもはるかに勝った方法で明らかに示してくださるからです。あなたはその方を知っていますが、世はその方を知らないのです。
助け主
聖霊は優れた知恵を与えてくださるだけではなく、心の通った助け主です。私たちが困難や苦しみに会う時、避け所となって守り、近くに来て助けてくださいます。
「助け主」とは、身近にいて助言してくれるカウンセラーのような人のことです。イザヤ書の中で預言されている救い主の名前のひとつに「不思議な助言者」という名がありますが、聖書では名前がそのまま性質を表すことになってます。
ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。ひとりの男の子が、私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる(イザヤ41章28節)
不思議な助言者
これは神が人類を罪から救うために救い主を送ってくださるという約束の預言です。その名が示しているように、この預言には、キリストの姿だけではなく、キリストにかかわる全てがこめられています。その英知、品性、手腕、人類を救いに導く方法についてもその名の中に示唆されているのです。その名に表わされている役割のひとつが「不思議な助言者」です。
不思議な助言者ですから、ただ助言をしたり、相談にのってくれるだけではなく、超自然的な力を持っておられて、普通では考えらないような助けをしてくださるのです。
あなたは、聖霊によって思いもよらない知恵を与えられて窮地をのりきったり、全く予期しないところから助けられたりした経験がありませんか。私は何度も経験しました。それは不思議な助言者である聖霊の働きです。
この助言者としての働きを、イエスが世を去っていかれた後もイエスの約束通りに聖霊が行なってくださるのです。
孤児にはしません
イエスは、わたしは、あなたがたを捨てて孤児にはしませんと言われました。
子どもにとって、親がいなかったり親から虐待を受けたりすることほど悲しいことはありません。親に頼らなければ自分だけで生きていく力がないからです。その親がいなかったり、不当に扱われたりしたら、自分からは誰にも助けを求めることができません。逃げ出すところもないのです。ところが現実にそのような事件が起こっています。ニュースを聞くたびに心が痛みます。
私たちは大人になって身の回りや生活のことは自分で出来るようになりました。けれども、霊的にはまだ幼子です。自分の力では自分のたましいの行方を確保したり、永遠を予約したりすることは出来ません。自分がいつこの世を去るのかも知らないのです。それでも、どこにも逃げて行くところはありません。
もしキリストがおられなかったら、やがてこの肉体が滅びて行くのを前にして、ただうろたえるだけです。けれども、私たちは親のない孤児ではありません。
聖霊はイエス・キリストが天に帰られてからも、私たちとともにいて、助け主として私たちを励まし、未来にあるものを見させて希望を与え、イエスの教えにとどまらせてくださり、御子を信じる者に約束された永遠のいのちへと導いてくださるのです。