祝福のメッセージ:2006ー10

No. 200610

アブラハム


 アブラハムは聖書に出てくる人物の中でも最も重要な人物の一人です。アブラハムは神の友と呼ばれています。

 私たちの神よ。あなたはこの地の住民をあなたの民イスラエルの前から追い払い、これをとこしえにあなたの友アブラハムのすえに賜わったのではありませんか。(歴代誌第二20章7節)

 そして、「アブラハムは神を信じ、その信仰が彼の義とみなされた。」という聖書のことばが実現し、彼は神の友と呼ばれたのです。(ヤコブ2章23節)

 アブラハムには子どもがありませんでしたが、神はこう約束なさいました。

 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。地上のすべての民族は、あなたによって祝福される。」(創世記12章3節)

 この約束は、アブラハムと妻サラの人生における数々の試みと矛盾するように見えました。たどり着く道のりが遠ければ遠いほど約束の実現は大きいのです。

 神はひとつの民族によって実現しようとしておられた遠大なご計画をアブラハムの生涯を通して明らかにされたのです。

 アブラハムは神を信頼していました。そのために神の民の父と呼ばれるようになりました。アブラハムのもとの名前はアブラムでした。アブラムは偶像に関係のある意味を持つ名前で、「父親」という意味でしたが、「多くの国民の父」という意味のアブラハムと言う名前で呼ぶように、神がお命じになったのです。

 あなたの名は、もう、アブラムと呼んではならない。あなたの名はアブラハムとなる。わたしが、あなたを多くの国民の父とするからである。(創世記17章5節)

 こうして、神はアブラハムが多くの国民の父となることを約束なさいました。その時、アブラハムは99才で、妻は90才でした。子どもは一人もありませんでした。アブラハムはこの約束を信じました。

アブラハムの旅立ち

 アブラハムの生涯は創世記11章から始まります。アブラハムの父、テラは、メソポタミアにあるウルという町に住んでいました。そこは偶像のはびこる町でした。彼は妻とともに、父親とおいの家族をつれてその町を出て、カナンをめざす長い旅の生活をするようになりましたが、一時的に、カランに定住しました。

 「兄弟たち、父たちよ。聞いてください。私たちの父祖アブラハムが、カランに住む以前まだメソポタミヤにいたとき、栄光の神が彼に現われて、『あなたの土地とあなたの親族を離れ、わたしがあなたに示す地に行け。』と言われました。そこで、アブラハムはカルデヤ人の地を出て、カランに住みました。」(使徒7章2-4節)

新しい地

 父、テラはカランでなくなりました。

 アブラハムはウルにいた時から、すでに神の招きの声を聞いていました。父の亡き後、アブラハムは再び神の招きの声を聞きました。「新しい地」をめざしてこの町を出て行けという命令でした。彼はそれがどこか、どのような地かを全く知りませんでした。

 その後、主はアブラムに仰せられた。「あなたは、あなたの生まれ故郷、あなたの父の家を出て、わたしが示す地へ行きなさい。そうすれば、わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大いなるものとしよう。  あなたの名は祝福となる。(創世記12章1、2節)

 アブラハムは神の約束を信じて旅立ちました。カランを出た時、彼は74才でした。

 程なく約束の地、カナンに着きましたが、神の約束の時はまだ満ちていませんでした。そのため、彼は約束の地に入りながら寄留者のようにそこに住んでいました。それでも彼は神の約束を信じ続けました。

 信仰によって、アブラハムは、相続財産として受け取るべき地に出て行けとの召しを受けたとき、これに従い、どこに行くのかを知らないで、出て行きました。信仰によって、彼は約束された地に他国人のようにして住み、同じ約束をともに相続するイサクやヤコブとともに天幕生活をしました。彼は、堅い基礎の上に建てられた都を待ち望んでいたからです。その都を設計し建設されたのは神です。

 信仰によって、サラも、すでにその年を過ぎた身であるのに、子を宿す力を与えられました。彼女は約束してくださった方を真実な方と考えたからです。そこで、ひとりの、しかも死んだも同様のアブラハムから、天に星のように、また海ベの数えきれない砂のように数多い子孫が生まれたのです。

 これらの人々はみな、信仰の人々として死にました。約束のものを手に入れることはありませんでしたが、はるかにそれを見て喜び迎え、地上では旅人であり寄留者であることを告白していたのです。(へブル11章8-13節)

 現実の状況がどのようであっても、神の約束にしっかりと立ち続けることが本当の信仰です。アブラハムは身を持って私たちに本当の信仰を教えています。

 アブラハムについてはまだ多くのことを学ぶことが出来ます。

 彼がどのように神の約束に立って数々の試練を克服したか、また、神の約束がどのように実現して行ったかは、実際に聖書の中からお読みになってください。

 アブラハムの生涯:創世記11章-25章