祈りの家族への手紙:2007-08


 親愛なる祈りの家族の皆様。

 これらすべてに加えて、愛を身に着けなさい。愛は、すべてを完成させるきずなです。
 (コロサイ3章14節)

 毎年この時期になると過去の戦争の悲劇を風化させないようにと、多くの新聞やテレビや団体が、あらゆる機会を通して「二度と戦争を繰り返してはならない。」と呼びかけています。

 時代の風潮に負けず、勇敢な心ある人々が戦争をやめさせようとして、命がけの努力をしたにもかかわらず、日本は国際的、経済的圧力と民族的誇りに負けて戦争に突入してしまいました。その結果、日本だけでなく多くの国々でたくさんの尊い命が失われ、取り返しの付かない損失を出しました。

 「どんな理由があっても戦争をしてはいけない。」それが教訓です。それにもかかわらず、地球上では今も戦争が絶えません。神はどんなにか人間の愚かさを嘆いておられることでしょう。

 ハンバード牧師は32年前、日本の人々に対する愛を強く感じ、日本の人々にも神の愛を伝えたいと思い、多くの財を投げ打ってテレビによる福音放映を始める決意をしました。

 その頃私はまだアメリカにいましたが、ハンバード牧師の愛と熱意に打たれ、その大役を担って帰国しました。ハンバード牧師自身も何度か日本に来て、直接日本の人々に神の愛を語ってくれました。その結果、多くの人々の人生が変わりました。多くの人々が人生に意味と喜びを見出したのです。

 互いに遠く離れてはいても、この愛の絆は今も続いています。この愛の絆は私たちが世界中の祈りの家族と共に、神の御前に出る時まで変わらないことでしょう。

 ハンバード牧師は8月13日に88才の誕生日を迎えました。最近、転倒して腰骨を折り、心臓病や消化機能の障害を併発して入院しておられます。長男レックスジュニアの報告によると、少しよくなる傾向を見せているとのことですが、依然として予断できない状況です。どうか、一日も早く回復に向かうようお祈りください。経過は追ってご報告いたします。

 互いに憎み合って殺し合う戦争と、心から溢れる愛に押し出されて、福音宣教に乗り出して行く二つの正反対の例を並べて見るとその結果がどんなに違ったものになるかが分かります。

 今、世界中でたくさんのクリスチャンが神の愛と人々への愛に押し出されて福音宣教に命をかけています。それによって多くの人々の人生が変わり愛の絆が生まれています。

 この小さな地球上で、人々が憎み合って殺し合うのと、国や言葉や文化の違いを超えて愛の絆によって結ばれるのとどちらが良いでしょう。

 神は愛です。神のことば聖書も愛を教えています。愛だけが、人間の持つあらゆる問題や困難を克服できる力です。愛は、すべてを完成させるきずなです。

 2001年9月11日、同時多発テロによってアメリカ経済の誇りであった貿易センタービルが崩壊し、多くの人々の命が失われました。悲劇はそれだけでは終りませんでした。

 愛する者たちの命を奪われ、誇りを傷つけられ、アメリカ人だけではなく世界中の多くの人々の心に憎しみが生まれました。テロという悪を地球上からなくさなければならないという正義感から復しゅうの心が正当化されたのかも知れません。けれども、見落としてはならないことがあります。

 愛こそが人間の持つあらゆる問題や困難を克服できる力です。憎しみは破壊するだけで克服したり完成させたりする力はありません。ですから、そこからは何も良いものは生まれません。

 愛する人たち、自分で復讐せず、神の怒りに任せなさい。「『復讐はわたしのすること、わたしが報復する』と主は言われる」と書いてあります。「あなたの敵が飢えていたら食べさせ、渇いていたら飲ませよ。そうすれば、燃える炭火を彼の頭に積むことになる。」
 (ローマ12章19、20節)

 この出来事で家族や愛する者を失った人々の中に多くのクリスチャンたちもいました。その中でも、自ら立ち上がって、「復しゅうではなく愛と赦しによってこの悲劇を克服しなければならない」と訴え、語りかけている人々がいます。自分の愛する者を失ってもなお、復讐ではなく赦すことを実行できる力は、愛である神が与えてくださらなければ誰も持てないことでしょう。大きな損害をこうむり、誇りを傷つけられ、愛する者の命を奪われたことへの正しい行動は復しゅうではありません。

 イエスは言われました。

 「だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。」(マタイ5章39節)

 「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい。」(マタイ5章44節)

 悪に対して悪で対抗すれば、その悪に対してまた悪が生まれ、連鎖反応を起こして、憎しみと争いはいつまでもやむことがありません。悪が生み出すものはいつも悪です。ですから、それ以上の悪を生み出してはいけないのです。戦争の歴史が語られる時、その悲劇をもたらした根源は人間が持っている罪であることを思い起こしてください。罪が憎しみを生み悪を行なうのです。けれどもイエス・キリストは、ご自分の命をかけて神の愛を実践し、私たちに罪の赦しをもたらしてくださいました。このイエスに習い、愛を実践する人になってください。神の力と助けによってそうしようではありませんか。

 敵を愛し迫害する者のために祈る力は、神が与えてくださるのでなければ、自分の力だけでは誰一人持つことは出来ません。

 愛を身に着けなさい。こう聖書は教えています。愛は、すべてを完成させるきずなです。愛の心で人々に接し、身近なところから憎しみの連鎖反応を断ち切り、愛の絆の先端を行く人になってください。

 あなたは愛されています。

レックス・ハンバード世界宣教団 

日本主事 桜井 剛