祈りの家族への手紙:2009-05

 

 親愛なる祈りの家族の皆様。

 「私はもうこんな歳になってしまって何の役にも立たない。」と言う方がいます。本当にそうでしょうか。確かに、若い時や壮年の頃はいろいろな仕事をこなして、役に立っているような気がすることはありますが、人の役に立っているかいないかは、必ずしもその人の能力の大きさによるのではありません。弱さを自覚した時や力の足りなさを知った時こそ思いがけない力が発揮されるのです。

 私が聖書学校で学んでいた時、全盲の方が入って来られました。私たちはすぐに親しくなりました。彼はいつもこう証ししていました。

 「私は目が見えないことでとても感謝していることがあります。目が見えないことで人生についていろいろと悩み、深く考えるようになったため、目で見なくても分かる神様のことを知ることが出来たからです。」

 出来ないことがかえって役に立つことがあるのです。もちろん、目が見えたほうがいいに決まっています。けれども、もし見えないのなら、その現実を受け入れて逆に役立たせることも出来るのです。「自分はもう何の役にも立たない。」と思う時、その「何も出来ない」と思えるような状況さえ、誰かの何かに役に立つことを信じてください。

 誰かが失敗をしたのを見て、かえってその人に親しみを感じ、安心してその人と友達になれた、という経験をしたことがありませんか。何の能力のない人、役に立たない人などこの世に1人もいません。全てのことを益としてくださる神はあなたの弱さも益とすることがお出来になります。

 神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。(ローマ8章28節)

 けれども、ただ弱さを自覚しているだけでは十分ではありません。神が人間を創造されたとき、私たち人間の知恵ではとうてい計り知れないような、素晴らしい可能性を持ったものとして造ってくださったからです。ですから生きていることに大きな意味があります。生きていれば、その命をさらに有意義に生きることが可能だからです。私たちの命は神から私たちに預けられているのです。この預かっている命を十分に有意義に活用すべきです。そのために、困ったり、行き詰ったり、迷ったり、不安や心配を感じたりすることがあったら、どんなことでも神の助けを求めることができるのです。あなたの造り主である神は、あなたに預けた命をあなたがどのように生きるかをいつも見ておられるからです。

 5タラントを与えられた人も、1タラントの人も、それを忠実に用いることを主は期待しておられます。神にとっては5タラントと1タラントに何の違いもありません。ただ、私たちがそれを精いっぱい用いることを重んじてくださるのです。

 あなたは心に疑いを持ったことはありませんか。「人生の意味が分からなくなった」、「神の存在が分からなくなった」、「神は本当に私の祈りを聞いてくださるのだろうか」などなど、疑いや恐れの心が湧いてくることがあります。そんな時は、ちょうど目が見えなくなったような不安な気持ちになることでしょう。しかし、それで神が存在しなくなることはありません。神は私たちの想像をはるかに超えて偉大な方です。私たちの感じ方で、存在したり存在しなくなったりするような方ではありません。私たちが疑いや弱さを感じるのは、一層深く神を知るようになるための一段階に過ぎません。その状態を乗り越えて目が開かれる時が来ます。その時、あなたが迷い、疑いを持ち、不安の闇の中を通っている間にも、神がいつもずうっと一緒にいてくださったことを改めて知ることでしょう。

 私たちはもともと弱い存在です。大宇宙の隙間にほんの短いあいだ生きることを許されているのです。ですから、疑いを持ったり迷いを感じたりしても不思議ではありません。けれども、そういう弱い私たちだからこそ、造り主である神は助け、力づけ、守ってくださるのです。

 すると主は、「わたしの恵みはあなたに十分である。力は弱さの中でこそ十分に発揮されるのだ」と言われました。だから、キリストの力がわたしの内に宿るように、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう。それゆえ、わたしは弱さ、侮辱、窮乏、迫害、そして行き詰まりの状態にあっても、キリストのために満足しています。なぜなら、わたしは弱いときにこそ強いからです。(コリント第二の手紙12章9、10節)

 私がレックス・ハンバード牧師から日本におけるテレビ伝道を託された時、私は正直にこう申し上げました。「私にはそんな能力も自信もありません。」するとレックス・ハンバード牧師は言いました。「私はこの大切な働きを、『自分の力で出来る』と思っている人に託すつもりはありません。弱さを自覚して神の助けを求めることの出来る人になら、安心して任せられるのです。」

 あなたが弱さを自覚する時こそ、本当は強いのです。何の役にも立たない、と感じている時こそ、誰かの役に立つのです。疑いの心が湧いてくる時こそ、一層深く神を知るようになる前ぶれなのです。

 あなたは今のままでも、とても大切な方です。あなたが気が付かないうちに、どこかで誰かの役に立っているのです。ですから、これからもより一層、あなたの人生を大切にし、磨き、ますます神にも人にも喜ばれるようになってください。

 あなたは愛されています。

レックス・ハンバード世界宣教団 

日本主事 桜井 剛