祝福のメッセージ
レックス・ハンバードのテレビ番組「明日への希望」より
No. 200910
三つの大きな試練
今、多くの人が困難と試練の中で苦しんでいます。人にはなぜ試練があり、苦しむのでしょう。大きな試練が聖書の中に3つ記録されています。
第一は私たちの主イエス・キリストです。主はこの世にお下りになり最後の夜ゲッセマネにおいて膝まづいてこう祈られました。「父よ、出来ますならばこの杯を過ぎ去らせてください。ただ、私の心ではなく、御心がなりますように。」
これは何という大きな試練だったことでしょう。イエス・キリストが人として経験なさった苦しい試練の時でした。彼は全世界の罪の重荷をご自分の上に感じていました。彼は私たちの罪を全て引き受けて十字架にかかろうとしておられたのです。その重荷を感じて「父よ、出来ますならば・・・」と祈られたのです。
けれども、「御心がなりますよう・・・」と祈り、十字架に進まれました。十字架の上でも主への試練は続きました。主の肩にはあなたや私の罪がのしかかり、父なる神に顔をそむけられてこう言われました。「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか。」これこそ試練の極みです。なぜ神は御子に背をお向けになったのでしょうか。それは、あなたの罪、私の罪を背負って、神を拒んだ罪びとに代わって、その罪を負っておられたからです。イエスはその罪の重荷にあえぎつつ死んでいかれました。罪を犯す魂は必ず死ぬ定めだからです。あなたや私が永遠の命を与えられたのは、主が私たちの罪の身代わりになって死んでくださったからです。
試練を受けたもう一人はアブラハムです。彼は後継ぎを約束されていました。
神に「あなたの子孫は海辺の砂のように多くなる」と言われた人物です。彼にはたった一人の息子があり、その名をイサクと言いました。神は彼に試みをお与えになりました。それは彼の信仰がイサクにあるのか神にあるのかを知るためです。「あなたの子イサクを祭壇の上でささげなさい。」という神のご命令は彼にとって大きな試練でした。しかし、アブラハムは従いました。彼が祭壇を築き上げるとイサクが言いました。「父よ、いけにえのささげ物はどこですか。」彼は言いました。「それは主が備えてくださる。」
聖書によると、彼はこの大きな試練にあったとき、わが子を愛するにも勝って神への信頼が勝っていました。神は約束なさったことを必ず成し遂げる力のある方であると信じていました。アブラハムは命ぜられるままイサクを祭壇にのせ、まさに、いけにえとしてささげようとした時、彼の心を知った神は彼をお止めになりました。神はイサクの代わりとなるいけにえの動物を備えてくださいました。雄山羊が近くの藪に角を引っ掛けて鳴いていました。アブラハムは最後の瞬間まで、神と神の約束を信じていました。この世のものや世継ぎの息子を信じたのではありません。彼は、どんな時にも神の約束に頼るかどうかという試練に勝ったのです。彼と神との関係はさらに強められ揺るぎないものとなりました。
第三はヨブの試練です。彼はサタンの手に渡されて大変苦しい目にあわされました。実際、神はヨブをしばらくの間悪魔の手にお任せになったのでした。何のためにかと言うと、試みるためと聖書は言っています。ヨブについてはあまり詳しいことは知られていません。しかし、聖書に記録されているヨブの物語を見ますと、彼は神の目に正しい人であり完全な人物でした。サタンによってその信仰を試みられたヨブが神の前に正しく完全な人であるとしたら、完全でない私たちはどんなにか多くの試練にさらされることでしょう。私も完全ではありません。イエスの恵みによって救われた罪びとです。私にも試練があります。厄介な問題が起こって心を悩ませます。試練に勝たなければなりません。
ヨブは正しい人でした。ある日サタンが神の前に来て言いました。「ヨブがあなたに忠実なのは、あなたの豊かな祝福があるからですよ。」
確かに彼はその地方きっての富豪でした。豊かな富に恵まれていましたが潔白で正しい人でした。富豪はとかく神より財産や能力に頼る誘惑がありますが、ヨブは違いました。彼はまず神を信頼しました。それゆえ神は彼を豊かに祝福なさったのです。けれどもサタンは言いました。「神よ、私に彼の財産を全て奪わせてください。そうすれば、あなたに仕えるのをやめるに違いありません。」主は言われました。「行って、彼を試みてみなさい。しかし、彼を殺してはならない。彼の命には手をかけてはならない。」
サタンは彼の財産、たくさんの家畜や僕たち、その上家族さえも盗賊集団や大きな自然災害によって奪わせました。恐らく、これが私やあなただったらこう言ったかもしれません。「主よ、なぜあなたは私をお忘れになったのですか。」
しかし、本当の信仰は望みの綱を決して離しません。神への信仰だけが永遠に残るものだからです。他の物、この世のものは何一つ、死ぬときには持って行けません。ヨブは言いました。「私は裸で母の胎から出てきた。また、裸でかしこに帰ろう。主が与え、主が取りたもう。主の御名は誉むべきかな。」
サタンの攻撃はさらに続きました。彼は体中にはれ物が出来て苦しみました。妻は言いました。「神を呪って死になさい。」友人達もやって来て言いました。「あなたは大きな罪を犯したに違いない。」彼は必死で信仰を弁護しました。
――― 続く ―――