祝福のメッセージ:2010ー01

祝福のメッセージ

福音書にあらわされたキリスト

No.201001

 イエス・キリストの生涯を伝える四つの福音書

 福音書はイエス・キリストの生涯を最も細かく歴史の中に書き残した書物です。4人の著者、マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネが、それぞれ違った観点からイエス・キリストの生涯に関する事実を記録しています。

 そこで2010年の第一回目に当たる今回からは、イエスがどのような方かをより正確に知るために四福音書を比較しながらイエスの生涯とその意味について学ぶことにします。

 イエスを歴史上の人物として正しく知る上では福音書が大きな役割を果たしています。イエスを神として、人として、また救い主として客観的に理解するには、いろいろな角度からとらえた、いろいろな人の証言に基づいた記録が必要です。そのような意味でも、それぞれ違った視点で伝えている四福音書を比較しながらイエスを学ぶことは大変効果的です。神であり同時に人でもあるという極めて難解な課題を私たちが正しく受けとめることが出来れば、イエスという方の本当の姿が私たちの心に浮かんできます。

 初めに福音書を書いた4人の著者を紹介します。

 マタイはユダヤ人の立場から、イエスを旧約聖書の予言に基づいて、世に来られたメシア(キリスト)、すなわち「ユダヤ人の究極の王」として伝えています。そこで、マタイは福音書の冒頭で、ダビデ王の子孫として生まれたイエスの系図を細かく記録することから始めました。

 アブラハムの子孫、ダビデの子孫、イエス・キリストの系図。1章1節

 マルコは新約聖書の二番目に置かれている書ですが、一番初めに完成した福音書です。後に続く福音書の著者たちはマルコの記録を参考にすることが出来ました。マルコはしもべとなられた神の子イエスに注目して、救い主であるキリストを、人を救うために人に仕える方として伝えています。

 神の子イエス・キリストの福音のはじめ。1章1節

 ルカは医者であったため、科学的な視点から正確に調べて収集した記録を当時のローマ高官であったテオピロに献上するという形で福音書におさめました。ルカはイエスの人間性を強調していますが、綿密に調べた事実によってイエスが人の子であると同時に神の子であることを証明しています。

 私たちの間ですでに確信されている出来事については、多くの人が記事にまとめて書き上げようと、すでに試みておりますので、初めからの目撃者で、みことばに仕える者となった人々が、私たちに伝えたそのとおりを、私も、すべてのことを初めから綿密に調べておりますから、あなたのために、順序を立てて書いて差し上げるのがよいと思います。尊敬するテオピロ殿。それによって、すでに教えを受けられた事がらが正確な事実であることを、よくわかっていただきたいと存じます。1章1-4節

 最後に書かれたのはヨハネによる福音書です。ヨハネはイエスの弟子の中で一番長生きをした人と言われています。すでに信仰が多くの人々の間に根付き始めたため、しっかりとした教理的な裏付けが必要になっていました。ヨハネはイエスが紛れもなく神ご自身であることを強調して、イエスの神性を最も強く表現しています。ヨハネは神が人となってこの世に来られたことをその冒頭でこのように書いています。

 初めに、ことばがあった。ことばは神とともにあった。ことばは神であった。1章1節

 四福音書が含まれている新約聖書は、当時地中海一帯でごく普通の人たちによって広く使われていたギリシャ語の一種で書かれました。当時出回っていた多くの難しい書物とは違って、福音が誰にでも理解できるために庶民の言葉が用いられたのです。ですから、この学びにおいても、難しい議論はなるべく避けて、イエスがどのような方であるのかを中心にして進めていきたいと思います。

 現在では5種類以上の日本語訳が出版されていますが、今回の学びにおいてはおもに新改訳聖書と新共同訳聖書で引用します。もし、あなたが他の日本語訳聖書を持っておられたとしても心配ありません。たいていの場合大きな違いはありませんので、今持っておられる日本語の聖書で十分役に立ちます。

 イエスは言われました。

 「あなたがたは、聖書の中に永遠のいのちがあると思うので、聖書を調べています。その聖書が、わたしについて証言しているのです。」(ヨハネ5章39節)