祈りの家族への手紙:2010-10

 
 親愛なる祈りの家族の皆様。

 あなたは世界でただ一人しかいない大切な存在です。

 私たちを造られた神はこう言われます。

 わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している。(イザヤ43章4節)

 先日百円ショップの前を通りかかり、並んでいた品物を見て驚きました。イヤホン、懐中電灯、時計まで百円で売られていたのです。百円で買えるのですから、壊れても、なくしても惜しくはありません。また買えばいいのです。当然のことながら大切には扱われなくなります。

 一方、地方に行った時、お土産屋で目につくのが「手作り」という言葉です。作った人の写真とともに「私が手塩にかけて造りました。」という言葉が添えてあったりします。

 今は大量生産大量消費の時代です。機械を使って同じ物を一度にたくさん生産することが出来るために、質の良いものでも安く作ることが出来るようになりました。私たちはその恩恵に慣れてしまい、自分も他の大勢の人と同じでなくてはいけないと錯覚しがちです。けれども、私たちは大量生産で造られた産物の一つではありません。一人ひとりが特徴や個性を持っているオーダーメイドです。世界にただ一人しかいない特別な存在です。神の設計図にもとづいて造られた特別注文品なのです。ですから、あなたは神の目には尊く、あなたの性格の一つ一つに神の思いが込められているのです。

 2000年の夏、ある科学者たちのグループが始めて人の遺伝子を全て読み取ることに成功しました。人の遺伝子はたった4種類の分子の組み合わせが30億並んでいて、その並び方によって人の体や能力や性質を決めているというのです。その遺伝子配列は設計図のようなものです。けれども、どう並ぶとどんな性質になるかはまだほとんど分かっていません。その並び方の種類は人間の言葉ではとても表わせない膨大な数になります。この研究のリーダーだったフランシス・コリンズ博士は「これは神が人をお造りになった時の言語のようなものだ。」と表現しています。その遺伝子記号の一組を日夜休まずに読み続けても30年はかかるそうです。

 けれども、全ての人がそれぞれ違った性質を持っているというだけではそれほど大きな意味はありません。大切なことはその性質の一つ一つに神の意志が働いていることです。神は目的を持ってその組み合わせを決定されたのです。ですから、あなたの人生には特別な意味と目的があり、あなたが持っておられるどんな性質にも神の意志が働いていて大切なのです。

 誰でも自分の性質のきらいな部分と好きな部分があります。けれども、それが良い性質か悪い性質かの判断はしばしば間違っています。たいていの場合、誰か他の人の性質と比べて判断しているからです。「私はあの人と比べてここが劣っている、これも足りない。」と思うので、失望したり、いやになったりするのです。もし、比較するものがなければ、あるいは、比較しなければ、あなたの性質も能力もあなたのために最高のものであり、あなた自身が素晴らしい神の作品であることに気がつくことでしょう。あなたの全てが、神があなたのためにお与えになったものです。人と比べたり競ったりするためではありません。

 羊飼いダビデがゴリアテと戦った記事が旧約聖書サムエル記第一17章にあります。

 当時、イスラエルはペリシテ軍との戦いに苦戦していました。ペリシテ軍の中にゴリアテという名の兵士がいて、めっぽう強そうな大男でした。毎日前線に出てきて、イスラエルの兵士たちに一騎打ちを迫りました。ところがイスラエルの兵士たちは彼を恐れて誰一人彼と戦おうとしませんでした。そこに羊飼いダビデがやって来て、ゴリアテがイスラエルに挑戦する様子を見たのです。ダビデはすぐに「私が彼と戦います。」と申し出ました。それを聞いたサウル王は自分の武器や鎧をダビデに与えて身につけさせて、ゴリアテとの戦いに出て行かせようとしました。けれども、羊飼ダビデはまだ若く、戦いの経験がありません。その上、サウル王の武具は立派で重いものでした。それを身につけたダビデは戦うどころか自由に歩くことさえ困難でした。サウル王の武具は何一つダビデには役に立ちません。けれども、サウル王は戦いに出て行くダビデに一つだけ素晴らしいものを与えました。それは、「行きなさい。主があなたとともにおられるように。」という言葉でした。そこで、ダビデはサウルの武具を脱ぎ捨てて、いつも自分が使っていた羊飼いの杖と石投げ器と石を持って主の臨在を感じつつゴリアテと戦いました。そして、巨人ゴリアテを倒しイスラエルに完全な勝利をもたらしました。

 私たちの人生におけるどのような戦いにおいても、私たちは自分に合った武具を使って戦いに臨むことが大切です。どんなに立派で優れているように見えても、他人の武具では戦いに勝利することはできません。人生のどんな戦いにおいても、神があなたに与えておられる能力と手段を用いて主と共に戦いに臨むべきです。

 今あなたはどんな戦いに直面しておられますか。どのような巨人があなたの前に立ちはだかっていますか。自分の力のなさを感じて恐れておられますか。主がともにおられるなら決して恐れることはありません。あなたは神にとってただ一人の大切な人です。神があなたをあきらめたり見捨てたりすることは決してありません。神によって造られたそのままのあなたで良いのです。戦ってくださるのは主だからです。

 神が働いてくだされば誰でもどんな素晴らしい人間にでもなる可能性を持っているのです。神が与えてくださった能力を最大限生かすことが出来るのです。あなたはもともと神の目には素晴らしい大切な存在だからです。

 自分は何の役にも立たず、誰にも必要とされていないと思うことがありますか。けれども、あなたは大切な人であり必要とされています。あなたを必要としている人に自分自身をさし出していないだけです。この地球上に必要とされていない人は一人もいません。全ての人がお互いにお互いを必要としているのです。あなたを必要としている人があなたのすぐそばにもいます。その上、何よりも神があなたを必要としておられます。神があなたを必要としておられるからこそ、あなたは造られ、あなたは存在しているのです。

 あなたは愛されています。

レックス・ハンバード世界宣教団 

日本主事 桜井 剛