親愛なる祈りの家族の皆様。
東北と東日本を襲った大地震と津波から一年が過ぎました。けれども多くの人々の悲しみも苦しみも消えてはいません。それどころか、その傷跡による後遺症は日本全体に及んでいます。
今までにも自然災害は何度も起こり、多くの被害をもたらしました。けれども、今度の災害は戦後の日本には今までになかったような大きなものでした。ですからその影響は直接災害を受けなかった人々をも含めて日本全体に及んでいるのです。しかし、その悲しみや痛みは悪いことだけを残しているのではありません。
自分さえよければ人のことはどうでもよい。自分のことで精一杯で他の人のことまで考えるゆとりはない。と言っていた人々が、被災者に関心を払い、ともに痛み、助けの手を伸ばし、実際現地に行って復興のために喜んで汗を流すまでに変わったのです。何がそうさせたのでしょう。
神に造られた者が意味なく悩んだり苦しんだりすることはありません。
人は創造され、生きるものとなり、神のはかり知れないご計画により救いと永遠の命の恵みにあずかるのです。その過程においては数々の痛みを経験しますが、大きな痛みや苦しみがあるからといって、人生に意味がないと考えてはなりません。痛みのない人生こそ意味がないのです。
人は痛みを伴ってこの世に生まれてきました。また、あらゆる種類の痛みや苦しみを経験しながら生きているのです。そして、痛みを感じながら死んで行きます。けれども、それに見合う以上の喜びや感動もあります。私もやっと今、それが分かりつつあります。
痛みがなければ、痛みが去った時の安心や喜びはありません。敗北や苦労を経験しなければ勝利の満足感も味わえません。苦しみは、避けたいもの、取り去りたいものとしていつも私たちの人生に存在し続けますが、私たちにより優れたものを与えるきっかけともなってくれるのです。痛みや苦しみがあるからこそ、それを避けたり防いだりして、より大きな安全を確保するようになるのです。そして、それが出来た時の喜びも感謝も大きいのです。
私の友人でアフリカの孤児たちの自立を支援する活動をしている人がいます。エイズによって親を亡くして生活の出来なくなった孤児たちが、アフリカには多勢います。彼らには親もなく家もなく学校もなく働くところもありません。国も彼らを救う力がありません。食べ物にありつけなかったら明日の命もどうなるか分かりません。実際毎日多くの子どもたちが死んでいきます。友人は彼らが自力で生きていけるよう支援活動をしています。文明国に住む私たちには全く考えられない厳しい状況です。それを知った人は「こんなことがあっていいのだろうか」と思います。私の友人もその一人でした。彼の働きがこれからどのように発展していくのか、今はまだ分かりません。しかし、決して無駄にはならないと私は信じています。
苦しみと痛みのただ中にある人を放っておくべきではありません。その人が痛むのはその人だけのためではないからです。周りの人のためでもあり、それを知った全ての人のためでもあるのです。
イエスは多勢の病人や体の不自由な人々に深い同情を示し、人々の見ている前で神の力による癒しを行なってくださいました。他の人が苦しんでいる時私たちが無関心でいることがないためです。
けれども、私たちは他の人の痛みや苦しみをどんなに理解しようとしても完全には理解出来ません。また、「この人の苦しみはあの人の苦しみよりも大きい。」とは誰にも言えません。それは一人ひとり違うからです。私たちに出来ることはそんなに多くはありません。本当は何も出来ないのかも知れません。自分が何かをしてあげられると思いあがった心を持つのではなく、一緒になってその状況を分かち合い、その痛みを共に負い、祈り合うことは出来ます。
「貧しい者は幸いです。いま飢えている者は幸いです。いま泣いている者は幸いです。」
とイエスは言われました。(ルカ6章20、21節)
もしあなたが何か大きな問題を抱え、心が痛み途方に暮れておられることがあったとしても、イエスはあなたが苦しんでいることを知っておられます。あなたに何かを得させようとしておられるのです。ですから、主は決してあなたをそのままにしてはおかれません。主はあなたがより大きな喜びを得て人生に輝きを増すことを願っておられるのです。どんなことが起ころうとも、あなたの人生が主の守りの手から漏れ出ることは決してありません。それが分かったとき大きな平安がやってきます。神はいつでもあなたの味方です。
神が私たちの味方であるなら、だれが私たちに敵対できるでしょう。(ローマ8章31節)
私がまだ小さかった頃、風邪をひいて寝込んでいた時のこと、頭が痛く、遊びにも行けず、何も食べたくない状態でした。けれども、「お母さんがこんなに優しくしてくれるならこのまま病気が治らなくてもいい。」と思ったことを覚えています。
私たちがどんな状況に置かれている時でも、神は私たちの味方です。どんな困難や災いも、私たちを神の強い守りの御手から引き離すことは出来ません。
私たちの人生は、今生きている間もまた永遠においても、天地創造以来神の深遠なご計画の中に組み入れられています。どんな困難の中を通っても、それは神が愛する者たちのために用意しておられる最善への通り道にすぎないのです。私たちには輝かしい栄光の未来が待っています。私たちはどんな時にも力強い御手によって導かれているのです。
神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。(ローマ8章28節)
あなたは愛されています。
レックス・ハンバード世界宣教団
日本主事 桜井 剛