親愛なる祈りの家族の皆様。
教会歴ではイースターから50日目を五旬節(ペンテコステの日)と呼びます。今年は5月27日がその日にあたります。その日、イエスがかねてから約束しておられた聖霊が弟子たちに注がれました。
イエスは過ぎ越しの祭りの日に十字架におかかりになりました。そして、三日目に復活なさいました。ユダヤでは過ぎ越しから50日目に小麦の収穫を祝う初穂のまつりを行ないます。イスラエルの民族がエジプトで奴隷から解放されようとしていた時、小羊の血を門に塗った家は神の裁きが過ぎ越して行きました。過ぎ越しはそれを記念するまつりです。同様にイエスが人類の罪を引き受けて十字架上で血を流してくださったことによって、イエスを心に信じて受け入れている人はその罪が赦されるのです。
過ぎ越しの祝いはそのまま小麦の収穫へと続き50日目にはその締めくくりとして初穂の祝いが行なわれました。その五旬節の日にイエスを信じた者たちの上に聖霊が注がれたのです。こうして、福音のメッセージは聖霊を受けた人々によって世界中に広がって行くことになりました。イエスは弟子たちにこう約束なさっていました。
「聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」(使徒の働き1章8節)
イエスが一緒におられた時には弟子たちは何も心配していませんでした。イエスの特別な力をいつも身近に感じていたからです。けれども、イエスは復活の姿で弟子たちに何度も現われた後、間もなく、弟子たちを離れて去って行かれました。すると、弟子たちは迫害を恐れ始め、戦々恐々としていました。いつ自分たちも捕えられてイエスと同じように十字架にかけられるかも知れないという恐れのために安心して外にも出られない状態でした。多くの人々の病気を癒し、空腹だった大群衆にパンを食べさせ、嵐を静め、死人さえも生き返らせたイエスがともにおられた間ならまだしも、頼りにしていたイエスはもう一緒ではないのです。イエスを十字架刑にさせることに成功した人々はますます迫害の勢いを増していました。弟子たちの周りには心配と不安ばかりが取り巻いていました。しかし、彼らはイエスの約束を思い、一緒に集って祈っていました。その時、弟子たち全員の上に聖霊が注がれたのです。
五旬節の日になって、みなが一つ所に集まっていた。すると突然、天から、激しい風が吹いてくるような響きが起こり、彼らのいた家全体に響き渡った。また、炎のような分かれた舌が現われて、ひとりひとりの上にとどまった。すると、みなが聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした。(使徒の働2章1-4節)
聖霊を受けると弟子たちの態度は一変しました。迫害を恐れず大胆に福音を伝え始めました。実際、迫害によって殉教した人たちもいました。けれども、厳しい迫害の嵐に吹き飛ばされるかのように、イエスの教えはまたたく間にエルサレムから周りの町々に広まり、ヨーロッパ全体に及び、全世界に伝えられて行きました。
「聖霊」と聞くと、何か非科学的で現実離れした、わけがわからない心霊現象を想像する人がいますが、聖書が教えている聖霊はそういうものではありません。聖書の中に書かれている聖霊について知れば知るほど、実は聖霊はもっと具体的な人格として、親しみを持てるようになります。聖霊は具体的な人格を持った神と等しい存在です。あなたが神の望んでおられるキリストに似た品性を備えた清い人格に近づけるよう助けてくださるのです。
聖霊は科学的に理解するものではありません。なぜなら、聖霊は、神の子イエス・キリストと同様に、神ご自身の顕現(現われ方)の一つだからです。神が人間の科学によっては証明できないのと同じように、聖霊も論理的に頭で理解するものではなく、実際に体験して感じるものです。
聖書が教える聖霊は「内住の霊」と言って、私たちを内側から励まし、語りかけ、力を与えて助けてくださいます。イエス・キリストをあなたの救い主として信じて心に受け入れたその時から、神の霊である聖霊があなたの心に住んでくださり、あなたの人格を通して働いてくださるのです。
聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。
あなたが窮地に立たされた時、自分の力ではどうすることもできなくなった時、神の助けを求めてください。聖霊はあなたの内側から働いて助けの手を差し伸べてくださいます。そして「大丈夫だ」という安心感をも与えてくださいます。困難に直面した時、励ましと力を感じさせてくださいます。心配や不安にかられた時は「いつでも主がともにいてくださる」という平安がやって来るのです。
聖霊は内側からあなたを強めてくださる神の力です。弟子たちの人生を大きく変えたのと同じように、あなたの人生を大きく変えてくださいます。十字架にかけられる前日、弟子たちと共に過ぎ越しの食事をした最後の晩餐の席で、イエスはこう約束なさいました。
「わたしは父にお願いします。そうすれば、父はもうひとりの助け主をあなたがたにお与えになります。その助け主がいつまでもあなたがたと、ともにおられるためにです。その方は、真理の御霊です。世はその方を受け入れることができません。世はその方を見もせず、知りもしないからです。しかし、あなたがたはその方を知っています。その方はあなたがたとともに住み、あなたがたのうちにおられるからです。」(ヨハネ14章16、17節)
イエス・キリストを信じ、神を愛するあなたには聖霊がいつもともにいてくださいます。聖霊は神であり、あなたの助け主です。窮地に陥った時の力です。あなたをお造りになった方は聖霊によってあなたの内に住んでくださり、まだ活用されていないあなたの能力を限りなく引き出して用いさせてくださるのです。あなたが今どんな問題や困難に直面しておられても、決して心配しないでください。イエス・キリストからの賜物である聖霊の力によって、あなたは必ず勝利することが出来るからです。
あなたは愛されています。
レックス・ハンバード世界宣教団
日本主事 桜井 剛