親愛なる祈りの家族の皆様
ことばには不思議な力があります。意味のある音の信号を聞く人に伝えるだけではありません。もちろん、意味を持った音が伝わって、それを聞いた人が相手の伝えたいと思っていることを理解して、その意思を受けとめることができることも驚嘆にあたいするすばらしい能力です。しかし、それ以上に、ことばには聞いた人を喜ばせたり悲しませたり励ましたりする力があります。
ことばは音によって伝達されるだけではありません。文字で表わされた時も同じように力を発揮し、読む人に知識を与え、人生に変化をもたらします。ことばは私たちに与えられた特別な賜物でありすばらしい能力です。
聖書はことばの用い方についてこのように教えています。
あなたがたのことばが、いつも親切で、塩味のきいたものであるようにしなさい。(コロサイ4章6節)
ですから、あなたのことばをいつも素晴らしいことに役立ててください。ことばは注意を払って正しく用いた時、素晴らしい力を発揮するからです。
「アメリカの最も優れた霊的な文書」と題する本を読む機会がありました。その本は、それぞれの分野の専門家としても知られているクリスチャンがその専門分野を通して知った信仰のことばを集めたものです。その本の冒頭にはジミー・カーター(第39代アメリカ大統領)が推薦文を書いていましたが、彼のことばが大変印象に残りました。
ジミー・カーター氏は大変熱心なクリスチャン大統領としても知られています。ハンバード牧師とも親しくしていた方で、彼は今でも毎晩妻とともに聖書を読み、その内容について話し合うことを習慣にしているそうです。彼が書く文書の中には、しばしば聖書のことばが引用されています。特に彼は、ことばの大切さを講演や著書の中で訴えています。彼は次のように書いていました。
私が大統領就任演説やノーベル平和賞を受けた時の講義のように、公の場で話をするときには、ことばを正しく選ぶことに細心の注意をはらいます。けれども、日常の生活の中で、息子として、兄弟として、夫として、また父親として話をするときにも、ことばは人を傷つけることもあれば人を癒すことも出来ることを覚えておかなければならないと思っています。
人の口のことばは深い水のようだ。知恵の泉はわいて流れる川のようだ。(箴言18章4節)
信仰生活の中でもことばは大切です。私はイエス・キリストは神のことばが人となって顕れた方であり、永遠のいのちのことばであると信じています。ヨハネの福音書1章3節にも書かれているように「すべてのものは、この方によって造られた」のです。その造られたものの中には私たちが日常使うことばも含まれています。私たちが与えられたことばを、思いやりを込めて用いるとき、キリストの働きを共に行なっていることになるのです。イエスはことばの持つ力をよく知っておられ、それを正しく用いて人々を助け、慰め、癒し、祝福し、教え、救ってくださいました。そして「幸いなのは、神のことばを聞いてそれを守る人たちです。」と言われました。(ルカ11章28節)
心のこもった励ましのことばがどんなに多くの人にやる気を起こさせて来たことでしょう。地震や津波で何もかも失った人々に寄り添うようにして励まし、一緒に汗を流して復興を助けた人の「これからも一緒にがんばりましょう」ということばが、どんなに多くの被災者の方の恐れや不安をとりのぞき、安心させてきたことでしょう。
ことばは人と人とが意思を通じさせ理解し合うための道具以上のものです。行動をともなった真実のことばは聞く人に大きな力を注ぐことが出来るのです。
けれどもその反面、間違った用い方をすると、人を傷つけたり失望させたりすることになります。ことばは使い方によっては人に害を与えることもあれば、喜びを与え、満足させ、心に深い感動を与えることが出来ますが、ひとたび誤解を受けてこじれてしまうと、どんどんと勝手に歩み出してしまい、手がつけられなくなるほど厄介なものです。
聖書はそのような力を持つことばを正しく、賢く用いるようにと教えています。
しかし、舌を制御することは、だれにもできません。それは少しもじっとしていない悪であり、死の毒に満ちています。(ヤコブ3章8節)
そこで、今月あなたにお勧めしたいことは、一日一度は身近な人に益になるような優しいことばをかけてあげることです。ことばを発する時、それを聞く人が喜び、励まされ、その人の益となるようにと思いながら、心をこめて話しかけてあげてください。それによって、あなたご自身にも大きな祝福がもたらされることでしょう。人を傷つけたり悲しませたりするようなことばは、もはやあなたからは聞かれなくなり、あなたの中からは人に喜びを与え、力づけるキリストの香りがただようようになって、周りの人々を幸せにするのです。
私たちはひとりひとり、隣人を喜ばせ、その徳を高め、その人の益となるようにすべきです。(ローマ15章2節)
というのは、あなたがたは、ことばといい、知識といい、すべてにおいて、キリストにあって豊かな者とされたからです。(コリント第一1章5節)
私が行っている教会の中にそれを実行している方がいます。毎週会う人ごとに満面の笑みをたたえて挨拶し、優しいことばをかけています。ただそれだけですが、声をかけられた人々はそのことばによってとても慰められます。そして、その人から喜びをいっぱい受け取った人の笑顔は周りの他の人々にも伝わって行きます。
私たちが日常用いていることばは神からの賜物です。それを用いて造り主である神を崇め感謝し、また、人々を慰め、励まし、力づけて、周りに祝福をもたらす人になるなら、ことばというこのすばらしい賜物を私たちに与えてくださった方はどんなにか喜んで、その人の生涯を祝福で満たしてくださることでしょう。
あなたは愛されています。
レックス・ハンバード祈りの家族
桜井 剛