祝福のメッセージ
No.201404
クリスチャンになった息子と無神論者の父との往復書簡
4.神に未来が分かるなら、自由意志を良い事に使う人だけを創造すればよい
息子へ、
今回のおまえの返事、特に人の魂は永遠に生きるものであること、そして、神が永遠のいのちを与えることについては感動的だった。しかし、それには少し問題があるような気がする。あまりにも理想的で非現実的ではないだろうか。神は全知全能で、未来のことも初めからすべて分っておられるのなら、人間を創造するとき、その人間が自由意志をどのように使うのかも分かるはずだ。それを予知する知恵を用いれば、与えられた自由意志を未来において良いことに使う者たちだけを選んで創造することが出来たはずではないか。自由意志を神に背く行ないに用いるような悪者などは初めから造らなければ良かったのだ。そうすれば、神への背きの問題も起こらなかったはずだ。この世界には苦しむ者は誰もいないようにすることができたはずだ。
神が創造した世界には良い選択をする人だけが存在する、初めから天国のような世界であれば、わざわざ、お前の言う永遠のいのちや神の国とやらを未来に約束する必要などなかったはずだ。
神が全知全能なら、創造のしかたも初めから選択できるはずだと私は思う。
悪い選択をするような被造物を初めから予知して、それを神の創造から除去し、良い選択をする被造物だけを創造する、選択的創造だ。
なぜそれが出来なかったのか、これは少し哲学的で難しい質問かも知れないが、誰にでも分かるように説明してもらいたい。お前からの分かりやすい説明の返事を楽しみにして待っている。
お前たちのかわいい子どもらにもよろしく。
愛をこめて、
父より
4.神には選択的な創造が出来るはずである、という疑問に答えて
親愛なるお父さん。
今回のお父さんの手紙で、神の予知能力についての質問は哲学的にも大切な命題の一つであることは確かです。けれども、そのためには神が全能であるということがどういう意味かをはっきりと理解していなければなりません。
それを分かりやすく言うとこうなります。
クリスチャンの考え方では、神が全知全能であるということは、現実に起こる全てのことを知っておられるということです。ですから、全ての人の考えや、自由意思によって選択された結果として起こること、また、起ころうとしていること全てを神は知っておられるのです。
人はどんな選択をするのも自由です。選択の可能性はたくさんありますが、その中の一つを選んだときその結果が起こり始めるのです。人が悪い選択をする場合も、選択するまでは何事も起こりません。選択して初めてその結果が表われるのです。選択しなかったことについては、それが選択された場合にはどうなるのか神が知っておられたとしても、それが選択されるまでは私たちの人生には表われず、私たちが知ることもありません。何を選択するのかは人の自由意志にゆだねられていて、その選択の行為には神は手をお出しになりません。
人は神から与えられた自由意志を用いて日々選択を繰り返しています。それが自分の人生を作り上げているのです。神は人が行なう一つ一つの選択の結果がご自分の創造なさった世界でどのようになっていくかを知っておられます。そういう意味でも神は全知全能です。けれども、人は自分の選択によって起こる直近の現実しか見ることが出来ません。
けれども、どうしても知っておかなければならないことがあります。
もし、神が人の選択をあらかじめ知っておられ、その結果をも知っておられたとすると、それはとてつもなく大きな意味になります。神は人が神の意志に反する選択をするのを知った上で自由意志をお与えになり、人を受け入れてくださるのです。そのためには、どんな罪も赦さない聖なる神の側に大きな負担が伴うことになるのです。それが神の無限の愛を理解するヒントになると私は思います。
人がどんな選択をしようとも、そこには神の愛が無限に注がれていて、人を神のもとに引き寄せる力が働いているのです。神の創造の働きが、造られた者への救いの力としても働いているのです。人がどんな選択をしても、神が人を愛しておられることには何の変りもありません。良い選択をする人も、悪い選択をした人も、神は同じように愛しておられるからです。人の自由な選択は人の人生に変化をもたらすことはあっても、神の創造の働きは変わりなく、神の愛にも変わりはありません。そこに神の完全性と全能性があり、私たちはどんな時にも希望が持てるのです。
今回の手紙は少し哲学的になってむずかしかったかも知れませんが、お父さんもご承知だったように質問自体が哲学的だったのですからやむをえないと思います。
いずれにしても、神は私たちが毎日どのような選択をするかを見ておられます。それが私たちの人生を築くものとなるからです。そして、人々が自由意志による選択によって神に近づくことを願っておられます。私はそこにこそ、神を信じ、イエス・キリストを信じて生きる人生に価値があるのだと思っています。
お父さんにもそれを知っていただきたいのです。
大きな愛をこめて、
息子のグレッグより