祝福のメッセージ:2016ー12

No.201612

救い主誕生の日

 ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる。ひとりの男の子が、私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる。(イザヤ書9章6節)

 イザヤは紀元前8世紀の預言者です。当時イスラエル民族を支配していた地上的な王たちの悪政によって退廃していた民族に、真の支配者となられる方が神から遣わされてこの地にお生まれになることを預言しました。この預言は彼自身の言葉で当時のイスラエルの人々に伝えられた望みでした。それは、何世紀にもわたって直面する、悪王による支配、他国からの侵略、奴隷生活などの厳しい困難の中で、メシヤを待ち望む固い信仰となって心あるイスラエルの人々に引き継がれました。

 もし、皆さんが当時の人々と共にその言葉を聞いていたら、どのように受けとめたでしょうか。当時の人々は飢饉や弾圧や奴隷の苦しみがやって来るまで救い主の必要を感じませんでした。しかし、預言は前もって与えられる神からの警告です。そこに信仰の大切さがあります。目に見えるものによってではなく、見えないものの中に、神の約束を信じて受けとめることです。神が約束されたことは必ず成就するからです。

 ことばは人となって、私たちの間に住まわれた。私たちはこの方の栄光を見た。父のみもとから来られたひとり子としての栄光である。(ヨハネ3章14節)

 イザヤが預言した神の約束は約 2000年程前に現実の出来事としてこの地球上で起こりました。この方は30年余り地上で生活をなさり、神の愛を説き、信仰を導き、信じる者に永遠のいのちを約束なさいました。さらに、私たちと神との間の妨げとなっている罪を取り除くための贖いの代価として十字架刑を受け入れて、ご自身を贖いの供え物として命をおささげになりました。救い主はご自分の民のところに来られたのにご自分の民はこの方を十字架にかけてしまったのです。けれども、神はこの方を三日目に復活させて、神ご自身がお遣わしになった方であることを証明なさいました。

 その時から、神が約束なさったメシヤはユダヤ人だけのものではなく、異邦人を含めた全人類の救い主となったのです。そして、神の子イエス・キリストへの信仰はエルサレムを始め、ユダヤの全土、さらに世界中へと爆発的に広がっていきました。

 ローマ帝国がヨーロッパの大部分を支配していた時代には、皇帝はキリスト教を厳しく弾圧して迫害しました。けれども多くの殉教者たちが命をかけて信仰を守り抜きました。

 殉教者たちが流した血教会の種となって、多くの教会が生まれ、成長して、イエスを信じる信仰がますます広がっていきました。ついにローマ皇帝はキリスト教を受け入れて国教としました。こうして当時のヨーロッパ全体に広がったのです。それと同時に、イエスの誕生を始めとして、聖書に根拠のある記念すべき日が重んじられるようになり、それぞれの日がカレンダーの中に取り入れられました。現在のカレンダー(西暦)はその頃から世界中で使われるようになりましたが、当時ヨーロッパで行なわれていたユダヤ民族の習慣とは関係のない、伝統的な行事の影響を受け、調和しつつ一緒に取り入れられるようになりました。その上、カレンダーの始まりの日である1月1日皇帝が変わるたびに何度も改められたために、カレンダーと季節とは必ずしも一致しなくなりました。従って、イエス・キリストがお生まれになった日を、現在使われているカレンダーによって正確に決定付けることは困難です。

 多くの天文学者たちや歴史学者たちが、聖書に記されているキリスト誕生の日不思議な星の出現や、イエスが十字架で息を引き取られた時の日蝕の日から逆算して、その日が現代のカレダーによる何年何月だったかを導き出そうと試みましたが、いずれも決定的なものとはなりませんでした。

 イエス・キリストの誕生の日についてはすでに定着していた12月25日を変えなければならないほど確かな証拠はなかったようです。

 今では、雪が深々と降りつもる北欧のクリスマスも、真夏の太陽のもとで祝うオーストラリアのクリスマスも、同じように12月25日です。

 私は何年も前にハンバード牧師とともに、祈りのリクエストを携えてエルサレムに行ったことがありました。世界中から送られてきた「愛する人々の救いを求める祈りのリクエスト」のために、クリスマスの日にカルバリーのふもとで祈るためでした。クリスマスの前日の夜、ハンバード牧師と共にイエスがお生まれになったベツレヘムの荒野を訪れました。星が降るような寒い夜でした。荒野には誰もいませんでした。こんなに寒い季節の夜に羊や羊飼いたちが野宿することなど考えられません。

 けれども、やはりクリスマスは12月25日でよいと思いました。

 クリスマスの日は現代のカレンダーのいつにあたるのか。本当のクリスマスの祝い方はどうあるべきか。アドベントはいつから始まりいつまでか。などといった外側のことばかりに気をとられて、クリスマスの中心となる一番大切なことを忘れないようにしましょう。神が私たちの罪を取り除き、御もとに引き寄せて永遠のいのちを与えるために、御子イエス・キリストをお与えになった事実が変わることはありません。

 救いの計画を実行なさった神の愛に感謝し、救い主イエスの誕生を祝いましょう。

 しかし、この方を受け入れた人々、すなわち、その名を信じた人々には、神の子どもとされる特権をお与えになった。(ヨハネ1章12節)

 私たちはイエス・キリストのゆえに、神の子とされたのです。

 クリスマスおめでとうございます。