祈りの家族への手紙:2021-10

親愛なる祈りの家族の皆様 

                              2021年10月 

 今、私たちに恵みと平安と希望を与えてくれているイエス・キリストの福音は、多くの人の命がけの宣教によって、長い歴史を通して現代の私たちに伝えられてきたのです。

 復活のイエスは、弟子たちに「全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい。」(マルコ16章15節)と言われました。ペテロをはじめ漁師出身の平凡な弟子たちと、それを信じた初代教会の信者たちは主の命令に従って献身的に働き始めました。後に、サウロと呼ばれていたユダヤ人のエリート学者が福音宣教に加わり、やがてユダヤとローマの全土をはじめ、世界中に伝えられていきました。

 初期の頃の福音宣教は激しい迫害にさらされましたが、「殉教者たちの流した血が、教会の種となった」と言われるほどに、人々の心を動かし、イエス・キリストの福音がひろめられたのです。

 時代と共に福音宣教の形や方法は変わりましたが、決して変わらないものがありました。それはキリストの贖いの死と復活です。中東から始まり、ヨーロッパに広まった福音はやがて全世界に伝えられていきました。その過程で悪い習慣にとらわれている人々を解放し、貧しい人々を助けることがキリストの愛を伝えるために大切になっていきました。

 それぞれの民族の生き方や習慣に浸透して、国々の文化を尊重して受け入れるようになると、福音は世界中に広がり、福音宣教と共に学校や、病院が造られ、産業や技術が発展しました。それは素晴らしい事でしたが、落とし穴もありました。いつしか福音宣教の中心であるイエス・キリストによる救いが、あたかも付属的な恩恵のようになってしまいました。隣人愛を実践する力となった、イエス・キリストの十字架による救いこそ、いつでも中心におかれるべきものです。人は知識が増し、健康で、経済的に豊かな人生を長く楽しめたらそれで良いというものではないからです。

 イエス・キリストによって罪から救われ、地上でも、天においても神と共に永遠のいのちを生きることが私たちの目標なのです。

 先人たちの涙と汗を通して伝えられてきた福音を私たちはどう受け継ぎ、どう次の世代につなげていくのでしょうか。大丈夫です。あなたにもできる、いや、あなただからこそできることがあります。人生は私たち一人一人に神から与えられた賜物です。私たちがその人生を神の子どもにふさわしく生きるなら、福音の持つ力を世に示すことができます。

 私たちを創造なさった神は地上における私たちの生き方をいつも見守っておられます。神はあなたの日々の苦しみも喜びもちゃんと知っておられます。決して無関心ではありません。そして私たちが呼びかける時は、その声をきいてくださいます。ですから、私たちは確信をもって祈ることが出来ます。

 多くの人々がコロナを通して身近な人々との交わりの大切さを実感しています。また、苦しんでいる人々への思いやりを教えられています。グローバル化した社会で、関心がもっぱら外へ向っていた人々が家庭に戻り、家族や身近な人々を思いやることを学んでいます。また、逆に自分の小さな世界に閉じこもっていた人々が、世界の苦しみにも心を向けるようになったと思います。どちらも素晴らしいことではありませんか。

 牧師や宣教師の働きは重要ですが、すべての人がその任務に召されているわけではありません。それでもあなたは宣教師なのです。あなたのいるその場所が、あなたの宣教地です。あなたしか入れないジャングルの奥地と言えるかも知れません。あなたの果たすべき役割はとても大きいのです。でも大きなことが出来なくてもいいのです。「大丈夫ですか」「お手伝いしますよ」「ご苦労様」「ありがとう」など、日常的な場面で神の愛を示す機会はたくさんあります。それも、今の時代に生きる私たちの福音宣教の一つです。

 それは、あなたがたが、非難されるところのない純真な者となり、また、曲がった邪悪な世代のただ中にあって傷のない神の子どもとなり、いのちのことばをしっかり握り、彼らの間で世の光として輝くためです。(ピリピ人への手紙2章15、16節)

 こうして私たちは、みことばの種が蒔かれる土地を耕すことになり、大切な人々と共に永遠のいのちを目指すことができます。

 あなたは愛されています。

レックス・ハンバード祈りの家族 

桜井 剛